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アップルトンとはいかなる人物だったか

①自由惑星同盟軍②中将③旗艦級戦艦『クリシュナ』④小説版、OVA版など

 

自由惑星同盟軍の艦隊司令官の一人。地味ではあるが、堅実な用兵を旨とする名将であった。

第八艦隊の司令官である彼が一躍勇名を馳せるのはアムリッツァ前哨戦の時である。この時、同盟軍各艦隊は上層部の稚拙な作戦と帝国軍の焦土戦術により各地で孤立し、補給切れによりその戦力は激減していた。まさにその時、帝国軍が総反抗を開始、同盟艦隊は有効な反撃をする事も出来ず、各個撃破されていった。しかし、アップルトンは類まれなる手腕を発揮、指揮下の兵力をほぼ無傷で撤退させる事に成功している。名将と呼ばれるウランフ提督やボロディン提督の艦隊が辿った末路を鑑みるに、いかに彼の功績が偉大なものかが分かるであろう。

この前哨戦により同盟艦隊の大半は壊滅、既に勝機は去っていたのだが、上層部は未だ敗北を認めてはいなかった。彼らは残存の艦隊を結集、これにより帝国艦隊を撃破することで戦局の回転を夢想したのである。戦場に選ばれたのはアムリッツァ星域。これがアムリッツァ会戦(註)である。

当然、この会戦にはアップルトンの第八艦隊も主力として参加していた。この戦闘に参加した四個艦隊のうち、第八艦隊とビュコック提督の第五艦隊を除けば、第九艦隊は前哨戦で大損害を受けた上、指揮官であるアル・サレム提督が負傷、モートン提督が指揮を引き継いでおり、第十三艦隊はもともと実勢が半個艦隊に過ぎないものに第十艦隊等の残存兵力を加えた急造艦隊であり、その戦力はあまり高いとはいえなかった。実質上、この会戦の勝敗は同盟軍中央に陣取ったアップルトンの第八艦隊が握っていたのである。

そして戦闘開始。四個艦隊の同盟軍に対し、帝国軍は六個艦隊を投入、兵力で同盟軍を圧倒しようとする。しかし同盟艦隊は奮戦、帝国艦隊を思わぬ苦戦に陥れる。特に第八艦隊は帝国軍の双璧の一人、ミッターマイヤー提督の指揮する艦隊と互角に渡り合うなど、その働きは目覚しかった。

この戦況に焦れた帝国軍総司令ラインハルト元帥は予備兵力として温存していたビッテンフェルト提督の黒色槍騎兵艦隊を同盟軍右翼から突入させ、一挙に戦況の打開を図った。

この時、同盟軍右翼に位置していたのは「あの」ヤン・ウェンリー提督指揮する第十三艦隊であるが、彼はあろう事か、黒色槍騎兵艦隊が突入してくるのを認めるや、全くそれを阻止しようともせずにさっさと艦隊を後退させてしまったのである。

割を食ったのは中央の右翼寄りに位置していた第八艦隊である。本来なら右翼を守る第十三艦隊が黒色槍騎兵を防がなければならないのに、その義務を果たす事無く一方的に後退してしまったのである。当然、黒色槍騎兵は第八艦隊の横腹に対して猛烈な突撃をかける。正面にはメックリンガー艦隊にミッターマイヤー艦隊。そして側面からはビッテンフェルト艦隊。三倍の敵に二方向から攻撃された第八艦隊の壊滅は必至であった。

しかし、アップルトン率いる第八艦隊は屈しなかった。中央に位置する第八艦隊が突破される事は同盟軍全体の瓦解を意味する。アップルトンはその事を重々承知していたのである。彼は一歩も引かずに帝国艦隊を迎撃、遂にその突破を許さなかった。正面の二個艦隊はおろか、側面の黒色槍騎兵艦隊の突撃をもその身をもって受けきったのである。

まさにその時、後退していた第十三艦隊が再び前進してきた。そして彼らは「黒色槍騎兵艦隊」に対して全力射撃を行ったのである。懸命な読者諸君はもうお気づきであろう。これは第八艦隊もろとも黒色槍騎兵艦隊を攻撃したという意味である。何故なら、黒色槍騎兵艦隊は第八艦隊に「突入」していたのである。混戦状態の艦隊に砲撃を行えばどうなるか。結果は第八艦隊と黒色槍騎兵艦隊双方が壊滅した事により明らかであろう。

麾下の艦隊がほぼ全滅した中、アップルトンの乗艦『クリシュナ』もまた大破していた。退艦を勧める幕僚に対し、彼はただ一言「私はいい」と答えると乗艦と運命を共にした。彼はヤンを呪う言葉を吐くでもなく、ただ自分が責務を果たした事に満足しながら従容として死を選んだのである。

アムリッツァ会戦の敗北は同盟指導層や軍上層部に大きな衝撃を与えた。そして、シトレ元帥が語ったように彼らは「英雄」を必要とし、ヤン・ウェンリーはエル・ファシル以来、再び英雄と賞賛される事となったのである。

しかし、我々は知っている。真の英雄が誰かという事を。アップルトン提督こそはアムリッツァ会戦での同盟軍完全敗北を防ぎ、少なくとも自由惑星同盟の命脈を数年は永らえさせた真の英雄であった。    

 

註:戦史研究参照